会長挨拶

10年後の日本大気化学会の発展に向けて

谷本浩志


今期より会長を務めることになりました谷本です。2017年1月から、1990年代に日本で大気化学研究が始まるきっかけになったとともに、現在も当学会と関係が深いIGAC(International Global Atmospheric Chemistry project, 地球大気化学国際協同研究計画)のco-chairも務めております。

日本大気化学会は2014年に「学会」になりましたが、研究会としては1999年に発足しており、さらに大気化学討論会は1995年に始まっていますので、原点から数えると22年もの長い歴史があるということになります。その間、日本で大気化学研究を立ち上げた先生方、そしてそれに続いた先輩方の努力のおかげで発展してきた歴史ともいえ、今や大気化学は学問として成熟した段階にあります。

一方、私が学位を取った後の16年間を振り返ってみて強く実感するのは、我々は「激動の時代」を生きている、ということです。その方向や振れ幅における不確実性は今後ますます大きくなるでしょう。また、中国の台頭は著しく、アジアにおける科学先進国はもはや日本(だけ)ではありません。こうした激動の時代に、どうやって日本の科学を次の発展に向けて成長させていくか、どうやって次世代を担う人材を育てるか、ということは、私たち現役世代に課された大きな使命だと思います。学問が成熟するのはそれ自体良いことですが、その成長を持続することは楽なことではありません。次の成長、さらなる発展に向けて、常に知恵を巡らせて、頭を働かせる必要があります。

そこで、大目標として、10年後の学会の発展を目指したいと思います。それが意味することは、コミュニティの成長であり、今後10年をかけて日本の大気化学のコミュニティが成長できるよう取り組みたいと思います。そして、それはとどのつまり、学生や若手研究者の育成に行き着くと思っています。

そのベースとなるのは、一人でも多くの会員に会の発展そして分野の発展にコミットしてもらうことです。会を良くする活動は役員だけでできることではなく、会員一人一人のリーダーシップが必要です。日本では学会の役員というと、偉い先生たちとか、研究ではない仕事をさせられる、という言葉を聞きますが、私は役員と会員の間に線はない、と思っています。学会活動の本質は「情けは人の為ならず」で、誰かにやらされるものでも、仕方なくやるものでもなく、自分のためにやるものだからです。

ぜひ一人でも多くの会員に、会の活動にコミットして頂いて、日本の大気化学者の「ホームグラウンド」である日本大気化学会を発展させられるよう、皆さんに「大気化学愛」を感じてもらえるよう、頑張っていきたいと思います。

会員の皆様には、会の運営に積極的にご協力いただければ幸いです。また、学生や若手の会員の方、女性会員の方、外国人会員の方からご意見があれば遠慮せずにお寄せいただきたいと思っています。広く地球科学の一分野でもある大気化学を発展させるべく、会員の皆様および関連分野の皆様には、引き続き変わらないご指導とご協力をお願い申し上げます。

2017年07月10日