日本地球惑星科学連合2009年大会 大気化学セッション
日本地球惑星科学連合2009年大会での大気化学セッション開催報告
プログラム委員 (谷本 浩志、齋藤 尚子、町田 敏暢、持田 陸宏、金谷 有剛)
千葉の幕張メッセで開かれた日本地球惑星科学連合2009年大会の中で、2009年5月20日に大気化学レギュラーセッションを開催いたしました。大気化学セッションには63件の講演申し込みをいただき、口頭24件・ポスター39件の発表が行われました。今回は3回目の開催で、全体としてはこれまでの研究集会とほぼ同じ規模の参加者数でした(昨年49件、一昨年71件)。口頭発表では、物質循環・輸送に関する観測研究、エアロゾルの特性と影響に関する観測・モデル研究、リモートセンシングや衛星データ解析に関する研究、アジア域における越境大気汚染に関する研究について、最新の研究発表が行われました。また、ポスター発表でも、広い会場で余裕のあるポスター配置ができ、多くの人が各ポスターに集まって活発な意見交換が行われました。大気化学研究会員以外からの発表申し込みも目立ったことは、これまでの開催で連合大会における「大気化学」の存在感を強くアピールすることができているとともに、会員外から「大気化学」へのニーズも強いことを示唆しています。また、SPARCやiLEAPSなど大気化学セッション以外へも参加するなど、「大気化学と他分野の接点の場」として有効に機能しはじめていることが伺えます。今後も連合大会という開かれた学会で継続的に最新の科学的知見を発表するセッションを設けることの意義が芽生えていると感じます。
今年も大気化学セッション単独のアブストラクト集を作成して大気化学研究会HPで事前配布する試みを行いました。また、個別のセッション内の対応では限界がある問題については、連合大会事務局へ改善を申し入れています。
来年度の連合大会 (幕張メッセ) の会期は5月23日(日)から5月28日(金)の6日間の予定です。連合大会における大気化学レギュラーセッションの存在感をさらに高めていくためにも、大気化学レギュラーセッションを昨年、今年と同様の規模 (1~2日間) で開催したいと考えております。次回も多くの講演の申し込みをいただけますよう、改めてお願い申し上げます。
さて、この機会に現在の形式のプログラム編成について総括しておきたいと思います。
第一に、これまでプログラム委員は大気化学討論会および連合大会大気化学セッションなどの研究集会をより魅力的なものになるように努力してまいりました。研究集会の求心力の基本は良い集会であることです。それは、良い発表、活発な議論、良い雰囲気から成りますが、変化と進歩の速い近年では、良い集会を維持するためには会員のニーズを速く反映させる必要があると思います。各自が良い研究を行い、良い発表を行うことはもちろんですが、それを促すとともにプログラム編成を絶えず見直してきました。この試みは、口頭発表にロング・ショートを設けたこと、質疑の時間を最低限確保したこと、座長のセッションハンドリングにガイドラインを作ったことなどが含まれますが、これまでの4年間で当初の目標はある程度達成できたのではないかと思っています。
第二にお伝えしたいことは、会員ニーズを反映させるためには、集会開催時に定常的に行っている「参加者アンケート」が非常に重要な役割を果たしているということです。プログラム委員では全ての意見に目を通し、各自が感じた成功・失敗とともに、次回の研究集会に積極的に反映させています。多くのアンケートがより多くの改善に結びつきますので、今後も積極的な記入をお願いいたします。また、個人情報には十分配慮しておりますのでご安心ください。
最後に、春の連合大会・秋の討論会というスタイルの定着に伴い、新たな課題や意見も出てきました。例えば、特別セッションの開催やその長さ・テーマについて、大気化学討論会現地実行委員の役割について、そして連合大会ではSPARCなど他のセッションとの連携について、です。これらについては、次期プログラム委員として留任する持田・齋藤が、新たに加わる遠嶋・小池両氏と共に取り組んでまいりますので、今後ともプログラム編成へのご理解とプログラム委員へご協力をお願いいたします。
ポスターセッションの様子