第11回大気化学シンポジウム
「第11回大気化学シンポジウム」が開かれました
日程: 2001年1月11日(木)午前9:00~12日(金)午後18:00
場所: ホテル アソシア豊橋(JR豊橋駅ビル内) 5階 参加費:無料
プログラム: 口頭講演 ポスター発表
連絡先:E-mail : atmos1@stelab.nagoya-u.ac.jp
〒442-8507 豊川市穂の原3-13 名古屋大学太陽地球環境研究所 大気圏環境部門 大気シンポ事務局宛
FAX: 0533-89-5161 電話: 0533-89-5160
第11回 大気化学シンポジウムの開催報告
松見 豊 (名古屋大学・太陽地球環境研究所)
近藤 豊 (東京大学・先端科学技術研究センター)
成13年1月11-12日、豊橋市にあるホテルアソシア豊橋において、「第11回 大気化学シンポジウム」を開催した。このシンポジウムでは成層圏と対流圏の両方の分野における最新の研究成果について、158名の参加者により27件の講演と、75件のポスター発表、合計102件の研究発表が行われた。参加者は年々増加する傾向にあり、11回目となる今回は昨年を20名近く上回り過去最高となった。口頭発表では各自の講演持ち時間を超えるほどの活発な議論や質疑応答がなされ、大気化学研究の益々の盛り上がりをうかがい知ることができた。また、ポスター発表は二日間にわたって会場を解放し、合計6時間近くの発表時間を設けた。これにより、口頭発表のような限られた時間では難しいような詳細な質問や議論を、じっくりと個別に深めることができた。また、ポスター発表者自身が他の発表を聞くことができるような時間的余裕にもなった。
今回は、特別講演として京都大学大学院理学研究科の廣田勇先生に「南極オゾンホールに関連した南半球成層圏極渦の年々変動」と題する特別講演を行っていただいた。また、生物燃焼が大気化学に与える影響を評価したBIBLE(Biomass Burning and Lightening Experiment)プロジェクトの成果報告や、人工衛星ミッションによる成層圏化学過程の研究、あるいは、エアロソルの大気化学過程を研究するACE-Asia (Asian-Pacific Regional Aerosol Characterization Experiment)計画などについての最新の成果報告がなされた。他にも、三次元輸送化学モデルによる大気環境変動の解析や、大気化学反応に関する室内実験・量子化学計算、さらには、大気中の極微量成分を測定する新しい計測装置開発、などについて興味深い報告が多数なされた。
このシンポジウムは、ベテランの研究者の参加はもちろんだが、若手研究者の参加が増えているという特色がある。若手研究者が積極的に参加していることは、今後の益々の大気化学研究の進展を促すものであり、まさに21世紀の幕開けに相応しい。また大気化学研究は、観測・モデル・実験等が互いに理解を深め合いながら進められるものであり、それらアプローチの仕方が異なる研究者が一同に会して議論することは大気化学研究の進展にとって必須である。このシンポジウムがさらに研究を前進させるために貢献できるように、シンポジウム参加者の意見を取り入れて今後の運営も工夫していきたいと考えている。